SailGP(セール・ジーピー)はセーリング競技に革命を起こします。2018年に設立され、ロンドンとサンフランシスコに本部を置くSailGPは、毎年開催される国別対抗のチャンピオンシップで、最先端のテクノロジーを駆使したレース艇で世界を転戦しながら、トップセーラーたちが頂点を目指すセーリングスポーツです。

大会は世界各地の象徴的な港を舞台に、岸からでも観戦可能な場所で行われ、シーズン総合優勝チームには100万米ドルの優勝賞金が与えられます。レース艇F50は50ノット(時速約100キロ)に迫るハイテクカタマラン艇です。

レースフォーマット

SailGPのレースコースは、臨場感と興奮を高めるため岸からも見ることができる距離にセットされます。各地の大会はそれぞれ2日間の日程で行われ、その間に全艇が一斉にスタートするフリートレースを5レース実施し、2日目の最終レースは上位2チームによるマッチレース形式の決勝レースが行われます。大会ごとの得点はシーズンを通して加算され、グランドファイナル(2019年は仏マルセイユ大会)では、トータルポイント上位2チームによる決勝レースを経てチャンピオンが決まります。優勝チームには賞金100万米ドルとトロフィーが授与されます。

ガバナンス

SailGPはワールドセーリング(国際セーリング連盟)公認のヨットレースです。レース運営は、オリンピック選手でありアメリカズカップのヘルムスマンでもあった著名なセーラー、イアン・マーレーが統括。世界トップクラスの国際審判員であり、ワールドセーリングのルール委員会副委員長でもあるリチャード・スレーターが主審兼レースルール委員長を務めます。こうしたセーリングの専門家に加え、最新の電子レース運営システムや遠隔ジャッジ技術を活用し、公平性、安全性、一貫性を確保します。

国籍

SailGPの国籍ルールは、ワールドセーリングの承認を受けたものです。参加チームの大半はその国の国籍を有する選手のみで構成されますが、F50を安全に操船する経験や競争力を持たない国については外国人枠が認められており、段階的に国籍比率を100%に上げるという例外的措置が適用されます。初年度となる2019年シーズンでは日本と中国がこの例外的措置に当てはまります。2チームは40%の国籍比率からスタートし、1年ごとに国籍比率を20%ずつ引き上げなければなりません。選手においては国籍ルールがより狭義な内容となっており、1カ国以上の代表になれないなど様々な条件があります。

安全

才能豊かなトップセーラーとアスリート精神で成り立っているSailGPにとって、選手たちの安全を守ることは最優先事項です。激しいトップ争いと展開が早いレースでファンを惹きつけるため、レース艇には最先端の技術が盛り込まれています。しかし同時に、選手たちの安全確保のため最新のテクノロジーやウェア、装備を整え、さらにトレーニングを実施するなど新たな安全基準を設けています。

資金調達とサービスモデルの集約化

SailGPは自身も熱心なセーラーであり、またセーリング文化の成長と発展のため数十年にわたり個人的かつ財政的に牽引してきたラリー・エリソンの資金援助によって運営されています。SailGPの枠組みは大会が認知・成熟するにつれて商業的な価値を生むようになり、フランチャイズ化されることが期待されています。またチームの運営コスト削減、人員や設備の重複を避けるため、主要分野で共有できるところは積極的にシェアサービスを導入していく予定です。例えば、同一規格艇であるレース艇のデザイン、ベースキャンプやレース艇、機材の物流などはSailGP本部が取り扱います。大会運営に関わる事務的業務や宣伝業務なども本部から一元的に提供されます。

放送

SailGPはイギリスに本社を置くウィスパー・フィルム社と国際映像制作の業務委託契約を結んでいます。ウィスパー・フィルム社は世界中の放映権所有者向けにエキサイティングで迫力のある番組を制作します。ファン獲得と視聴率向上を目標に、SailGPは視聴者それぞれの要望に沿ったコンテンツと、レース分析に力を入れる予定です。番組はテレビでの無料放送や各種デバイスを通じてさまざまな形で放送され、また将来的にはライブライン(3Dアニメーションによるレース解説ソフト。LiveLine TM)の拡張版によって視聴体験を飛躍的に向上させます。

ユースプログラム

SailGPは参戦しているすべての国にレガシーを残すため、2シーズン目からグローバル・ユース・セーリング・プログラムをスタートさせる予定です。このプログラムは学校やヨットクラブを通じて若手セーラーを育成し、プロセーラーへの道筋を与えることになるでしょう。

サステナビリティ

SailGPは海とその周辺環境を尊重・保護することを重視し、責任ある姿勢と行動を示していきます。環境保護に対する継続的な取り組みはSailGPにとって最優先の課題であり、短期的な目標として、すべてのレースでプラスチックごみの根絶に取り組みます。