JPN flag

トラブルだらけの一日

30 MAY 2019News
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サンフランシスコ大会最終日、日本チームは次々に発生するレース艇の不具合に悩まされました。これは、レース中継では放送されなかった真実の記録です。

練習レースでは他チームを圧倒し、大会初日も三連勝するなど、サンフランシスコ大会での日本チームは絶好調でした。しかし、総合トップで最終日をむかえたチームには数々の試練が待ち受けていました。

レース前、数回タックをしたところで、クルーはウイングセールに問題があることに気がつきました。すぐにSailGPのテクニカルチームが何艇ものサポートボートで駆けつけてくれましたが、問題はなかなか解決しません。油圧バルブに原因があることまでは分かったのですが、どのマニホールドが誤作動しているのかを突きとめられなかったのです。時間は刻々と過ぎていきます。1時間が過ぎようとする頃、チームは今日最初のレースを捨ててでもきちんと直して、次のフリートレースと最終のマッチレースに備えるべきか、とりあえずこの状態でスタートだけして途中棄権し、最低ポイントを獲得するべきか話し合います。スタートまであと6分。ようやくマニホールドのスペアパーツが届きます。それから約5分で部品を交換し、日本チームは文字通りダッシュでスタートラインへと向かいました。

Tech team inspects Japan's wing

「テクニカルチームと我々全員が、最後の1秒まで諦めることなく問題を解決しようとした努力は素晴らしいね。関係者全員の高度な技術力を目にすることができたのは良かったよ。非常に信頼に値する人々だったね」(スツゥ・ベッタニー Japan SailGP Teamショアチームマネージャー)

日本チームはこのレース、2位でフィニッシュしました。フィニッシュスライン直前まで、オーストラリアチームと大接戦を繰り広げていましたが、オーストラリアチームがノーズダイブして大失速する劇的な幕切れでした。鮮やかな舵さばきで勝利を手にした日本チームは、本来の力を取り戻したように見えました。

Tech team inspects the wing

しかし、次のレースでは日本チームらしいスピードとキレのある操船テクニックが見られず4位で終えます。決勝のマッチレースに駒を進めることはできましたが、クルーたちの表情はさえません。

ウイングセールの問題が解決したと思ったら、今度はダガーボードに不具合が発生したのです。ダガーボードのロックが外れなくなり、その結果、本来は水面から引き上げておかなければならない風上側のダガーボードも水中でロックされる事態に。4位フィニッシュという成績はそのためでした。オーストラリアとの決勝マッチレース前に直さなければなりません。再び、時間との闘いが始まりました。そして今回も、テクニカルチームが問題を解決してくれました。

Tech team pulls alongside Japan

そしていよいよマッチレースが始まるという時に、無線から「3つ目の問題が発生した!」というヘルムスマンの声が聞こえてきました。なんと今度は、スタートまでの時間や、コースの境界線など重要なデータが表示されるモニターが映らなくなってしまったのです。モニターはウイングセールの両側にセットされていますが、片方で情報がまったく表示されず、スタートまでの残り時間すら分からなくなってしまいました。唯一の情報源は腕時計だけ。正確な艇速や境界線までの距離が分からないまま、50ノット(時速約100キロ)近いスピードでレースをすることになります。

Japan's malfunctioning display

日本チームに修理する時間はもう残っておらず、このままレースを続行するしかありませんでした。サンフランシスコ大会はオーストラリアチームの勝利で幕を閉じました。しかし日本チームは最後まで善戦し、逆転かというシーンを何度も見せてくれました。

Disappointed Nathan Outteridge

「テクニカルチームの素晴らしい連携プレーのお陰ででレース直前に直ってスタートできましたが、ウイングセールの故障で最初のレースは練習なしのぶっつけ本番となりました。次のレースではダガーボードのロックが外れなくなり、スターボードからポートへのタックで毎回、沈をしそうになったのを見ていたでしょう。すごくヒヤヒヤしましたよ。最後のマッチレースではデータがまったくないままスタートしなければなりませんでした。勝つためにできることはすべてやりました。でも結局負けてしまいました。それも日曜日に起こったことの一つにすぎませんが……」(ネイサン・アウタリッジ Japan SailGP Teamヘルムスマン)

日本チームにとっては残念な結果となりましたが、チームにはトップレベルのセーリングスキルと、問題を把握し対処する知識と技術があることが証明されました。日本チームが優勝するのは時間の問題です。その瞬間は来月のニューヨーク大会で訪れるでしょうか?