経験がアドバンテージに。アウタリッジがシドニー大会を予想

15 JANUARY 2019News
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ニュージーランドで行われたハイテク高速艇F50でのトレーニングセッションがごく限られた時間であったにもかかわらず、ネイサン・アウタリッジ率いるJapan SailGP Team(日本チーム)は確かな手応えを得ることができました。

「トレーニングの主な目的は、メンバーたちがお互いを知り合うことでした」と、スキッパーのアウタリッジは言います。「チームには何年も一緒にセーリングしてきた気心知れたイアン・ジャンセンやルーク・パーキンソンがいますが、アメリカズカップをライバルチームで戦った吉田雄悟、笠谷勇希と一緒にセーリングするのは初めてのことです。誰がどんな役割をこなし、どのようにレース艇を走らせていくのか、それを話し合いました。メンバーには49er級でオリンピック出場を目指す、参加チーム全チーム中最年少の高橋レオ(20歳)もいます」

「トレーニングセッションは当初の予定より短縮されましたが、メンバーが一堂に集まることができたのはとても良かったです。ただし、チームとしてより密になるためにはシドニーでやるべきことがたくさんあります」

49er級で出場したオリンピック2大会で金メダル、銀メダルを獲得し、スキッパーとして2度のアメリカズカップ挑戦経験があるアウタリッジは、SailGPと同じようなレース形式で経験豊富なクルーをチームに呼ぶことができます。そのリストの一番上にいたのがジャンセンです。ジャンセンはアウタリッジと組み、2つのオリンピックメダルと、3度の世界チャンピオンに輝きました。

パーキンソンもアウタリッジ、ジャンセンと共に2017年に英領バミューダで開催されたアメリカズカップに出場した経験がある優秀なセーラーです。同じ大会にライバルチーム、ソフトバンク・チームジャパンのグラインダーとして出場したのが、吉田と笠谷です。彼らも進化したF50にうまく適応するでしょう。

「グラインダーの役割は現在、より熟練度が求められるようになっています」とアウタリッジ。「バミューダでは肉体的な負担が大きかったですが、F50ではセーラーとしてより密にレースに関わるようになります」

地球上で最も早いレース艇6艇が一斉にスタートするフリートレースでは、クルー同士の密接なコミュニケーションが非常に重要になるとアウタリッジは言います。

「6艇のレース艇がフルスピードで同時にスタートラインを切る—、今まで誰も経験したことがないのですからとても緊張すると思います。自分たちの周りにいるすべてのチームに集中しなければなりません。これこそがレースをダイナミックするカギです。順位はめまぐるしく変わり、最後の最後まで接戦が繰り広げられるでしょう」

「観客にとっては、逆転に次ぐ逆転劇を目の前で見ることができ非常に興奮すると思います。我々セーラーにとっては、厳しい戦いになるでしょう。相手チームや早く走らせるための戦術を考えるのはもちろん、レース艇を高速で走らせ続けるも一苦労です」

「レースは接戦となるでしょう。軽風から中風では、トップが何度も入れ替わるような接戦が予想されます。風が強くなったり、微風になったり場合は差ができる可能性もあります。なぜなら、同じようなレース艇でのレース経験が乏しいチームもあるからで、そうしたチームは少し苦労するかもしれません。いずれにしても、適度な風が吹けば非常にタイトで手に汗握るレースが期待できます」

新艇での練習時間はほとんどありませんが アウタリッジは、開幕戦に向けて準備する時間が少ないことは心配していないと言います。日本チームはウイングセールとフォイリングを装備した大型カタマランの経験が豊富なチームとして、十分に戦えると考えています。

「日本チームのレース艇、F50は参加チームの中で最後に建造された6号艇です。ギリギリに完成したため、艤装などをゼロから始めなければならず、海上トレーニングの時間が非常に限られています。メンバーはそれぞれの経験を持ち寄って、少ない練習を補う必要があります。決して理想的な展開ではありませんが、それでも私たちには互角以上に戦える競争力があると確信しています」

アウタリッジが考えるシドニー大会の本命は、彼と同じオーストラリア人、トム・スリングスビーが率いるオーストラリアチームです。

「優勝候補筆頭は、間違いなくオーストラリアチームでしょう」とアウタリッジは言います。「スキッパーのスリングスビーはサンフランシスコで行われたアメリカズカップで優勝していますし、ウィングトリマーのカイル・ラングフォードは2度のアメリカズカップ経験があります。彼はまた、この手のレース艇の経験がとても豊富です。サム・ニュートンとカイ・ハーストは非常にパワフルなグラインダーです。そしてジェイソン・ウォーターハウスは、吉田や笠谷と共にソフトバンク・チームジャパンに所属しアメリカズカップに挑戦しました」

「地元オーストラリアで行われるホームイベントですから、彼らが本命にならないわけはないでしゅう。もちろん他チームも素晴らしいセーラーが揃っていますが、フォイリングカタマランでのレース経験は少ないのが実情です。シーズンが進み、レース経験が増えればどのチームもスキルが上がり、ますます白熱したレースが繰り広げられるようになると思います」

SailGPの開幕戦となるシドニー大会まであと29日です。